人間型ロボットの作業移動を目的とした実験システムの構築

 

学籍番号:90190025 新井研究室 大塚英正

 

 

 

 

 

1.      序論

本研究では人間型ロボットについて,その脚を利用しアームの作業能力を増加させる

手法(以下,作業移動と呼ぶ)の提案に力点を置いている.作業移動を人間サイズの

ロボットに適用し様々な作業を実現させる上で,シミュレータ検証と実機を用いた検

証が重要となる.ここで検証用実験システムを構築するにあたり,ロボット本体の動

特性を考慮する必要があるバランス制御等の検証では,小型ロボットの利用は適さな

い.ただし動特性の影響に関する考察を直接必要としない,作業環境内の行動計画や

動作生成では,その利用は可能と考えられる.

 

そこで本取り組みでは,従来の16自由度小型人間型ロボット(以後2号機と呼ぶ)の

アクチュエータ配置,ならびに機構構成について再度検討し,実機ならびに動作環境

の構築と,その動作確認を行った.

 

2.      実験システム

2.1.        設計の方針

 シミュレータとのモデル化誤差を軽減させる目的により,シミュレータのロボット

と同じ関節構成(全18自由度)にした.また,ロボットの動作計画を目的とした手法

の適用可能性を呈示する第一段階では,ロボット本体の動特性による影響を軽減さ

せ,手法の制御指針そのものが検証できることが望ましいので,各リンク質量をでき

るだけ軽量化した.2号機に対する改善点としては,上半身の関節の構成が変わった

こと,脚を6自由度にし前後動作利用に加え横方向の運動が可能になったこと,1つの

関節に2つの自由度を持たせたこと,小型,軽量でトルクの強いモータを使用したこ

と等が挙げられる.

 

  

 

2.2.        詳細設計

 アルミ製のフレームとサーボモータ,プーリ,ベルトを用いた.全ての関節にはラ

ジコン用サーボモータを用いており,PCのD/Aボードからラジコンの送信機に指令を

与えることにより無線で操作する.また,1つの関節に2つの自由度を持たせるにあた

り,サーボモータの回転軸を直行させるため,プーリとタイミングベルトを用い,離

れたところから関節を回すことができるようにした.この機構は脚の付け根の部分と

足首の部分に用いた.

 

 

 

 

3.      動作確認

シミュレーションのアルゴリズムを用いて実機動作プログラムを作成し,腰をひねる

運動を行わせたところ,シミュレータのロボットと同じ動作が実現出来ていることが

確認できた.

 

4.      結論

本研究では,作業移動制御法の動作検証を目的とした実験システムを構築するにあた

り,人間型ロボットのアクチュエータ配置,ならびに機構構成について検討し,その

動作確認を行った.今後は,実機の剛性を高めると共に,カメラや力センサを取り付

けることで,遠隔操作や協調作業の実験などに応用可能な実験環境を構築してゆくこ

とが課題である