モジュラステートネットによる ヒューマノイドロボットの行動実現

学籍番号 90180080 潮研究室 高橋 秀行

 

・はじめに

不確定な実空間での動作を要求されるヒューマノイドロボットには多数の行動バリエーションと障害からの自力での回復機能が要求される.

本稿では,金広らによって定義された,ステートネットアーキテクチャと呼ばれる表現方法に基づいて,体の各部毎にステートネットを構築したモジュラステートネットを新たに提案し,多彩な行動を実現する.

 

・ステートネットアーキテクチャ

ロボットのセンサ情報により構成された多次元空間を定義すると,ロボットの行動は多次元空間内で有向曲線として表される.

よって複数の行動をマップすると,この曲線が交点を持ち,それによって空間内に有向グラフが構成される.

この有向グラフはステートネットと言われている.

 

・障害回復機能

ステートネットでは状態がセンサ情報により明確に定義されているため,各状態間の距離を求めることができる.よって,障害を列挙するのではなく,正常な状態を定義することにより,障害を軌道のずれとして検出することができる.また逸脱した状態とステートネット上に定義された状態間の距離を求め,最も近接した状態へ軌道を生成することにより障害回復を行うことが可能となる.

 

・モジュラステートネット

従来の行動パターンをロボット全体に対し定義する手法では,体の一部の状態が異なっただけの場合でも別状態とみなされるため,ヒューマノイドロボットに要求される複雑な行動パターンを実現する事が難しい.

 

そこで,体全体ではなく体の各部毎にステートネットを構築する.これをモジュラステートネットと名づける.モジュラステートネットでは各部毎に独立したステートネットを構築するため,全体の状態は各ステートネットの組み合わせによって表現される.

つまり,各部の行動はモジュラステートネットの遷移によって実現でき,体全体の行動は各部のステートネットから状態を抽出し,組み合わせることにより実現できる.

これにより,従来のステートネットに比べ,より少ないネットワークで多様な動作を実現できるのである.

 

・干渉問題

前章では,モジュラステートネットによる細かな行動パターンの実現について述べた.しかし,各部のステートネットは互いに独立しているため,ステートネット間での干渉問題が生じる.

例えば,右腕を左前方に,左腕を右前方に動作させる場合を考えると,それぞれのステートネット上では実現可能な動作でも,両腕では前方で互いに衝突してしまい,正常に動作できない.

この問題を解決するため,ステートネット間の干渉をチェックするサーバを中間層に設け,干渉に関する情報を保持し,行動計画を行う上位層を構築した.

 

・結論

本研究では,ステートネットを体の各部毎に構築したシステムの基礎を確立し,

少ないパターンを組み合わせて,より多彩な行動を実現できることをシミュレーションによって確認した.

本研究ではシステムの構築を優先したため,歩行などの転倒が発生する問題については考慮していない.今後はこれらの問題について研究を行いたい.