2000年度修士論文概要

学籍番号 90418028 所属研究室 新井研
氏名 谷   博 之
タイトル 近接センサを用いた平面超冗長マニピュレータの環境形状適応制御
1.はじめに

我々は,未知で狭い空間への適用を考えた超冗長マニピュレータの分散制御法を提案している.
この方法は2関節を1ユニットとする関節ユニット毎の分散制御で,各関節ユニットがその先端に取り付けられたセンサを用いて自身の近傍の環境を認識し,障害物が検出された場合には先端を障害物から遠ざけることにより,自立的・局所的に障害物を回避することが可能である.
ただし今までは,自身の周りすべてについて障害物の方向,距離を得ることができる理想的なセンサを想定していた.

そこで本研究では,ある限られた指向性をもち,障害物までの距離は検出できるが方向は検出できない
近接センサを用いた場合の環境形状適応制御を考える.まず,ユニット先端へのセンサの取り付け方法について考察し,様々な環境形状に対する適応能力を解析する.


2.環境形状に対する適応能力

センサはユニット先端に常に正面を向くように取り付けるものとし,環境形状に対する適応能力を解析する.まず,円形の障害物の曲率を変えて解析した結果,設定距離を維持して障害物を回避できることが分かった.そこで,角をもった障害物について考え,角付近の2関節とその前後の2関節(計3ユニット)に注目し,平面に面した前後の関節の位置を平面から設定距離離れた直線上で変えて角付近の関節の障害物との距離を計算し,その最小値を求める.この値をいろいろな障害物の角度,設定距離について求めることにより,障害物の角度の変化に対する適応能力を明らかにする.

3.結論

環境形状に対する適応能力の解析より,あらゆる曲率の円や,ある程度の角度の障害物に対してであれば,理想どおりの障害物回避が実現できることが分かった.