2000年度修士論文概要

学籍番号 90418006 所属研究室 田村研
氏名 岩 尾 浩司郎
タイトル 絶対誤差を用いた誤差逆伝搬法の実験的評価
ニューラルネットワークとは,脳や神経系の回路網をモデル化したもので,その機能
や動作(認識,認知,判断,思考など)をコンピュータに行わせようとして始まった研
究である.現在,このネットワークはパターン認識,画像処理技術,音声処理などに
応用されている.このネットワークに対する代表的な学習法として,Rumelhartらに
よって提案された誤差逆伝搬法が挙げられる.

誤差逆伝搬法は通常,二乗誤差を評価関数としているため,測定データや教師信号に
データの外れ値が含まれていた場合,その影響を受けやすい.これに対し,絶対誤差
関数を目的関数に用いた誤差逆伝搬法[1]が提案され,データの外れ値の影響を受け
にくいことが示されている.本論文では先行研究で用いられた絶対値関数の近似関数
の他に,新たに2つの近似関数を用い,実験的評価を行った.

絶対値関数の代表的な滑らかな近似関数としてCHKS近似関数,ニューラルネットワー
ク近似関数,一様近似関数の3つがあげられる.
本研究ではこの3つの近似関数に対して実験的評価を行った.

実験結果から,絶対誤差に用いられる絶対値関数の近似関数としてCHKS近似関数,
ニューラルネットワーク近似関数はほぼ同等であり,一様近似関数はそれより劣って
いるという結論が得られた.

参考文献

[1] 三宅 剛史:""絶対誤差を用いた階層型ニューラルネットワークの学習"",
特別研究 (1999).