2000年度修士論文概要

学籍番号 90179059 所属研究室 新井研
氏名 喜 田 和 夫
タイトル アーム操作性を考慮したリムメカニズムの設計
1.はじめに
ここ数年,移動型ロボットの研究・開発は飛躍的に進んだ。本研究では移動型ロボッ
トのなかでも脚に腕機能をもたせた腕脚統合型ロボットと呼ばれるものをテーマにし
ている。今回,本研究の試作1号機(ASTERISK)をふまえ,更なる小型化・軽量化お
よび操作性の向上などを目的に新たな実機を設計・試作した。

2.設計概要
基本的な部分はASTERISKをふまえた。大きな変更は操作性向上のためリンク機構を換
えたことである。おもに産業用マニピュレータに使用されているPUMA型機構と試作1
号機ASTERISKに使用されているリンク機構を特異点解析により機構評価した。PUMA型
は対称的で全方向に能力が発揮できる機構のため,新たなリンクにPUMA型を採用し
た。

3.機構パラメータの設計
各リンクの長さ等を求めるにあたり,次の4点に重点をおいた。
・物理的制限 ・抱え込み長さ
・トルク制限 ・クリッパ駆動ギヤの選択
この条件を満たしつつ小型化・軽量化するように設計した。

4.設計・製作
完成機はASTERISKより全長で約28mm,幅で約13mmの小型化に成功した。また新た
にASTERISKに使われていたサーボやバッテリーより性能・重量ともに優れているもの
を採用することで軽量化も実現した。実際に実機を動かすと試作1号機の基本性能を
損なわず,かつ任意の2脚でのハンドリング作業等が可能であった。

5.結論
本研究では試作1号機(ASTERISK)のリンク機構等を,さらなる小型化・軽量化,操
作性の向上,上下対称性などに重点をおいて見直し,新たな実機を設計・試作した。
完成機は小型化・軽量化ともに成功し,操作性も向上した。今後は各手先に赤外線セ
ンサを取り付け,距離情報による動作制御を目指したい。