メニュー選択操作の習熟において入力インタフェースが与える影響

井口研究室  黒田 周作

1. 研究目的

木構造型メニューにおける深さと広がりの違いと入力インタフェースの違いが,メニュー選択操作に与える影響を解析し,その使いやすさについても評価する.さらにユーザが習熟を重ねた場合にはこれらがどのように変化していくのかを調査する.

2. 入力インタフェース

実験では,家電製品によく用いられているリモコンタイプの入力インタフェースの中から,数字ボタン入力型インタフェース(図1ロ)と矢印ボタン入力型インタフェース(図1ワ)を使用した.



(a)数字ボタン入力型



(b)矢印ボタン入力型

図1 入力インタフェース

3. 木構造型メニュー

2^6:

階層数6,1階層のメニュー項目数2

4^3:

階層数3,1階層のメニュー項目数4

8^2:

階層数2,1階層のメニュー項目数8

64^1:

階層数1,1階層のメニュー項目数64

実験1,2は(1)(3),実験3は(2)(4)について解析した.

4. 実験1,2

実験1では入力インタフェース操作に対する習熟のみについて,実験2ではメニュ−構造に対する習熟も含めて調査した.実験1より,システムに習熟する前には矢印ボタン入力型インタフェースを用いるほうが探索時間が短いことがわかった.一方,実験2から,数字ボタン入力型インタフェースを用いた場合と矢印ボタン入力型インタフェースを用いた場合の,探索時間と使いやすさの評価が習熟の過程で入れ替わることがわかった(図2).また習熟度および入力インタフェースに関わらず浅く広い木構造型メニュ−を用いるほうが探索時間を短いということがわかった.

実験の様子を撮影したビデオやアンケートなどから,習熟による探索時間と効率の変化を示す習熟度曲線を作成した(図3).また,これらからも,ユーザがシステムに習熟する前には,木構造型メニューの種類が,習熟後には,用いた入力インタフェースの種類,および探索に必要なボタン操作が探索時間や効率に大きな影響を与えていたと考えられる.

図2 探索時間の変化

図3 メニュー選択システムに対する習熟度曲線

5. 実験3

実験3では異なる木構造型メニュ−について,習熟前後の探索時間を調査した.その結果,習熟前は木構造型メニューの違いが,習熟後は入力インタフェースの種類,および探索に必要なボタン操作が探索時間に大きな影響を与えていることが再確認できた.図4に各々の入力インタフェースでの習熟前後の探索時間変化を,実験1,2の結果とあわせて示す.


(a)数字ボタン入力型             (b)矢印ボタン入力型

図4 習熟前後の探索時間変化

6. まとめ

本研究では,木構造型メニュ−選択システムにおいて,入力インタフェースの違いが探索時間に与える影響と,このメニュ−選択システムに対するユーザの習熟特性を解析した.

また,ターゲット探索時間や使いやすさの評価,ユーザの習熟特性は,木構造型メニュ−,入力インタフェースの両方から影響を受けていることを確認した.