ワイヤー張力センサの試作とその応用

新井研究室  上島 啓史

1. はじめに

建設や造船などの大型重量物を扱う作業に適した、シリンダとワイヤを併用して駆動するパラレルアームの機構が既に提案され、そのプロトタイプの設計・試作が行われている。本研究では、このプロトタイプの操作性・作業性をより高める目的で、ワイヤの張力測定センサの設計・試作を行った。さらに、試作された張力センサの特性を測定し、プロトタイプ実装時の、外力の推定による搬送物の重量測定、内力による張力補正制御への応用を提案し、これを定式化した。

2. アームの概要

本研究は、このアームに実装するワイヤ張力センサの設計・試作を主としている。アームにセンサを実装した際の概観をFig.1に示す。



Fig. 1

3. 張力センサの解析と設計・試作

上記のアームに実装するためのワイヤ張力センサの解析、設計・試作を行った。本研究で製作を行ったワイヤ張力センサは、折り曲げたアルミニウムの板にワイヤを通し、荷重がかかったときのセンサのたわみをストレインゲージによって測定するというものである。Fig.2に張力センサの概観を示す。センサとワイヤの接触部には、摩擦を軽減するために小型のプーリーが取りつけられている。センサの各パラメータは、ワイヤの最大許可荷重である20[kgf]の荷重がワイヤに与えられたときの出力電圧をその評価基準として決定した。



Fig. 2

4. 試作センサの評価

Fig.3は荷重と出力電圧の関係を示すグラフである。これにより、試作したセンサは荷重に比例した出力を示すことが表され、アームに実装して十分な精度で張力を測定できることが確認された。



Fig. 3

5. 外力推定による搬送物の重量測定

アームのリンクは合計7本であるが、その全てのリンクの発生力がわかれば静力学のつりあいの式から外力を求めることができる。今回試作したセンサによってワイヤの張力は測定できるがシリンダの発生力は知ることができない。しかし、異なる2点におけるアームの姿勢から求められる連立方程式を解けば、外力を推定することが理論的に可能であるという仮定のもと、外力推定のアルゴリズムについて考察し、それを定式化して予備実験を行った。

6. 結論

本研究は、シリンダとワイヤを併用したハイブリッド駆動パラレルアームのより多彩で正確な制御を目指し、ワイヤに実装可能な張力センサを提案して、その設計・試作を行い、その結果を示した。また、その実際的な応用に関して、外力推定による搬送物の重量測定、内力による張力補正制御への考察を示し、それらを定式化した。

今後の課題としては、試作したセンサを用いて、本研究で提案した外力の推定への応用を目指す。