腕脚統合型ロボットの4脚歩行における安定性の評価

新井研究室  坂下 勝利

1.はじめに

 作業移動型ロボットの利点は移動機能と作業機能を持ち合わすことによりお互いを補完、補強し合うことである。ここで、その発展形として移動機能と作業機能を統合させた脚を持つ,腕脚統合型ロボットについて考えた。このようなロボットは災害地などで必須である。
 本研究では、今回試作したロボット「アスタリスク」の特徴である移動の全方向性を安定性という観点で評価する。

2. 腕脚統合型ロボットの歩容

 アスタリスクは6本の脚が放射状に配置されている。本研究はこのロボットが作業をしていると仮定し、4脚で歩くときを考える。4脚での歩容は24通りあるが、ウェーブ歩容が最適とわかっている。今回は(2,3,5,6)を使って歩行することを考える。

3.進行方向安定余裕

 ロボットの重心の水平面への射影点から、進行方向(負の方向も含む)での支持多角形の境界までの最短距離を進行方向安定余裕といい、前方の境界までの距離と後方の境界までの距離の短い方となる。
(支持多角形:ロボットを支持している脚の接地点を水平面に射影し、これらの点を結んでできる凸多角形。)

4. 腕脚統合型ロボットの4脚歩行

 最初に脚先の動作範囲は幾何学的に解くことができる。その範囲の中でストロークが最大に取れるところを考え、ウエーブ歩容でその最大ストロークで歩行するとする。そのときの進行方向安定余裕を求め、歩行1周期の平均をリンクの長さで正規化してすべての方向で等しいかを調べる。また、この結果は両前脚(両後脚)の間隔とストロークに,依存する。これらの結果を図3,図4に示す。
(ストローク:1歩の距離、ストライド:歩行1周期で進む距離)

5. 考察

 同じ脚で4脚歩行をすると、最初の進行方向に対して70度を越えると進行方向安定余裕が小さくなってくる。それと同じように脚の間隔やストロークも変化 している。どの方向に対しても同じような安定性を持つために、60度からは違う4脚 で歩行をすることにする。

6.結論

 以上の結果により進行方向によって違う4脚を使うことで全体的にほぼ 同じような進行方向安定余裕を得ることができた。