知的訓練システムのオーサリング環境におけるガイダンス機能

溝口研究室  藤原 順子

1. はじめに

 企業内の訓練システムでは、教育の対象が多岐にわたる上、同じ教育テーマでの企 業間による教育内容の違いや、学習者の知識・能力などの多様性により、訓練システ ムの教材も多種多様にわたる。このため、オーサにとって教材作成が困難であるとい う問題が存在する。この現状を踏まえて、本研究では、訓練システムについてオーサ が考える一般的構成をオントロジーとして整理し、またそれに基づいてオーサリング プロセスを知的に支援することを目標とする。本稿では特に知的訓練システムのオー サリング環境における、ガイダンスの機能について述べる。

2. オントロジーの役割

 知識訓練システムはコンピュータと学習者との間の、適応的で双方向的な知識交流 の実現を目指して構築されたシステムである。しかし、システムの設計原理が明らか になってないため、訓練教材の作成が困難であるという問題があり、この問題を、オ ントロジーとして明確にすることにより解決しようと考えられている。
 オントロジーは、対象世界の概念に対するユーザとシステムの間の合意事項を示し ており、システムを構成するときに用いる基本概念(語彙)の体系と、その間の関係 を規定する公理からなる。オントロジーは対象世界の概念を、システム設計者の視点 と利用目的に応じた切り口で捉えて表現しているため、オーサの意図を反映した教材 の作成に大きく貢献する。さらに、公理によって教材モデルの整合性がチェックでき 、その結果から適切なガイダンスを提供することが可能になる。

3. SmartTrainerのオーサリングツール

 SmartTrainerは、電力系統事故復旧知的訓練システムである。SmartTrainerのオー サリングツールはオントロジーに基づいており、四つのツール、即ち、業務フローエ ディタ、バックボーンストリームエディタ、フローラインエディタと教授行為カード エディタで構成されている。教材オーサは、これらのエディタにおいて訓練教材を適 切に組み上げていく。その過程において、違反等が検出された場合にはオーサに通告 され、あわせて推奨案も提示される。

4. ガイダンス

 知的訓練システムSmartTrainerのオーサリング環境におけるガイダンスは、エラー 、警告、情報提供の3つに大きく分類できる。オーサがオントロジーに基づく制約に 違反した場合には、その強さによって、エラー、警告、情報提供のいずれかのメッセ ージが提示される。

5. 結論

 本研究では、知的訓練システムのオーサリング環境SmartTrainer/ATにおけるガイ ダンス機能についての検討を行った。
 今後は、SmartTrainerのより具体的な評価を行うとともに、知識の拡充、オーサリ ング環境およびインターフェースの改良等を行う予定である。